2019年10月9日
9/27に開催された内閣府「子ども・子育て会議(第45回)」における、小規模保育に関する駒崎理事長の提言をご紹介いたします。
1.子どもが0人の時に保育士を2人置かないといけないルールの廃止を
もし保育園開所時間が19時までであれば、18時30分までしか子どもの保育が発生しない日に、保育の実施の有無にかかわらず、保育士2名+施設長や事務などがいなくてはならない決まりがあります。
保育実施対象園児が存在しない時間の保育士2名の必置が緩和されると、保育士のシフトや勤務状況の改善の一助になり、保育士の働き方改革が進むと考えられます。
このため、保育利用の子どもがいない保育園開所時間における保育士配置の緩和を要望いたしました。
2.保育園に通う医療的ケア児が短時間の看護師支援を受けやすい制度の新設について
医療的ケア児が保育園に通うには看護師の支援が不可欠ですが、現状では保育園で看護師を採用する以外の方法が無く、訪問看護ステーションからの保育園支援も制度上かないません。
このため、医療的ケア児の通園にあたって保護者が付き添うか、保護者が自己負担で看護師と直接契約し、保育園に派遣せざるを得ず、どちらにしても保護者の負担が大きくなってしまいます。
保護者の負担なくできる方法に「保育所等訪問支援事業」があり、医療的ケア児の支援も制度上含まれますが、2週間に1回程度と毎日利用できる制度ではないため、保育所等訪問支援事業の制度を医療的ケア児の預かりで利用できるように、「2週間に1回」記載の削除を要望しました。
3.小規模保育園卒園時に産休・育休中でも3歳以降の保育園が担保される仕組みの採用を要望
小規模保育園を卒園するタイミングと産休・育休が重なった場合、3歳以降の保育園申し込み時に点数が下がるため、その後の預け先が担保されず、2人目、3人目を考えている保護者が小規模保育園を選択しにくい状況があります。
連携枠制度についても、連携すること自体に重点を置くあまり実態にそぐわない連携を行う自治体・園が存在し、3月末まで在園したくとも、制度上の問題から年度途中の転園をせざるを得ないなど、しわ寄せは保護者に及んでいます。
一方で、認可保育園に同様の心配はありません。小規模保育園でも3歳以降の心配なく小規模保育園が選べるように、小規模保育園の卒園児を対象とした「産休育休中の減点無し」または「先行利用調整」の採用を提案いたしました。
ご参考:足立区 先行利用調整による預け先の確保(2019年4月入所分から実施)
一般の4月入所とは別に、小規模園9月時点で利用申し込みを受付し、卒園児用の定員枠を設けることにより、早い段階で、3歳以降の預け先を確定することができる。
4.加算率算定に必要な保育士の経験年数、保育士登録の登録事項情報データベース化の提案
処遇改善等加算Ⅰに係る加算率認定申請の際、現在のフローでは、施設・事業所は対象となる保育士等の経験年数を証する書類(現在及び前歴の在職証明書等)を揃えて確認し、市町村へ提出する必要があります。
保育士等が転職する度に在職証明書が必要となるため、以前に勤務した算定対象施設・事業所へ問い合わせ、発行を依頼しなければならないものの、保育士等が以前に勤務した施設・事業所に連絡しづらい事情がある場合も少なくありません。
「施設・事業所の廃園等により、在職証明書等の取得が困難な場合、雇用保険の加入履歴や年金定期便の写しなど、加算率認定申請書に記載された職歴が客観的に把握・推認される資料等をもって、当該職員の経験年数を確認して差し支えない」とされていますが、これら書類では情報量が十分ではないと認められなかったケースも発生しています。
様々な事情で期日までに在職証明書等の提出できない時は経験年数とはみなされず、当該職員が以前に勤務した施設で申請していた経験年数より下がってしまう事態が発生してしまっています。
市町村の担当者においても、経験年数の算定が正しいか、採用日における月数の間違いがないかなど、提出された全ての在職証明書等や申請書類に目を通し、相当な時間と手間をかけて詳細部分までチェックし、職員が異動や転職をするたびに、その園のある自治体の担当者が毎回同じ作業を行っている現状があります。
保育士が全国どこの施設・事業所で勤務しても保育士登録番号により前歴を証明できるようになれば、事業者及び自治体担当者の事務負担の軽減が見込めるため、都道府県単位で管理している保育士登録簿を全国統一してデータベース化し、算定対象となる経験年数も合わせて登録管理できる仕組みを提案いたしました。
5.医療的ケア児を保育園で預かるにあたり、看護師の「みなし保育士」扱い緩和の要望
現行制度は、医療的ケア児受け入れを想定した制度になっておらず、看護師は1園につき1名が「みなし保育士」として扱われています。
看護師配置(保育士扱い)についての厚労省の通知は「保育所等における准看護師の配置に係る特例について」資料のみ。
現状が特例とされている状態のため、看護師が2名以上必要でも1名しか保育士に見なしてもらえず、制度上保育士も追加配置する必要が生じています。
この状況を受けて、医ケア児の預かりについては医ケア児3名に対して看護師2名を保育士と見なす等、1園1名限定ではなく、医療的ケア児を預かる人数に応じて必要な看護師数を保育士と見なすことができるように要望いたしました。
6.新年度入園辞退者の取り扱いに関する提案
本来、保護者の入園を辞退する期日は、自治体ごとに特定の日(例:3月21日)までと決まっています。
しかしながら、期日を過ぎた内定辞退者についての受付を受理し、4月1日から入園を希望する園児を探さない自治体が存在するため、入園を希望する待機児童は多数存在するにもかかわらず4月1日に保育園に空きがあるという状態が多数発生しています。
この状況を受けて、新年度入園辞退者の取り扱いについて①4月入園の園児を急ぎ決定する施策、ないし②空き1名分の公定価格を自治体負担とする施策の検討を依頼いたしました。
詳細は内閣府ホームページをご覧ください。
子ども・子育て会議: 子ども・子育て本部 – 内閣府(リンク)
子ども・子育て会議(第45回)会議資料はこちら