全国小規模保育協議会の提言を受け、今年4月1日から、小規模保育事業等で保育を受ける子どもたちについて、市町村長が、卒園後に保育所などを優先的に利用できるようにするなどの措置を講じている場合は、受皿連携施設の確保が不要となりましたのでお知らせいたします。
「家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準の一部を改正する省令」(令和2年3月26日)より抜粋
<これまでの経緯>
「家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準」(平成 26 年厚生労働省令第 61 号)において、0~2歳児の保育の受皿である家庭的保育事業者等(家庭的保育事業者、小規模保育事業者、事業所内保育事業者)は、満3歳で卒園する児童の受皿となる「連携施設」(保育所、幼稚園又は認定こども園)を確保することとされていました。
一方で、平成30年4月1日時点で、卒園後の受皿となる連携施設を確保できている家庭的保育事業者等は約63%※1で、連携施設を確保しにくい実態が浮き彫りになっていました。
その後、平成31年の同基準の改正※2では、
・家庭的保育事業者等による卒園後の受皿の提供を行う連携施設の確保が著しく困難であると市町村長が認めるときは、卒園後の受皿の提供を行う連携施設の確保を不要とする
・この場合において、家庭的保育事業者等は、定員が20名以上であって、市区町村が適当と認める、①企業主導型保育施設、②地方公共団体が運営費支援等を行っている認可外保育施設を卒園後の受皿の提供に係る連携協力を行う者として適切に確保しなければならない
・平成31年度末までとされていた「連携施設の確保をしないことができる」期間(経過措置期間)を5年間延長する
こととされていました。
この状況を受けて、全国小規模保育協議会は、連携施設を用意できず小規模保育施設を作ることが叶わない状況があることや、小規模保育園卒園後の受皿機能としても十分ではないといった小規模保育等の受皿連携施設をとりまく実態を繰り返し提言してきました。
一部の自治体では、小規模保育事業者等を卒園する子どもたちについては、一般の保育所申込に先行して申込受付・利用調整(先行利用調整)を行ったり、入園の選考基準となる保育指数を高くしたりして、優先的に次の保育所に入れるようにしているので、今回の改正で、受皿連携施設の確保は実質不要になったと読み取れます。この取り組みが広がり、未整備の自治体においては早急に要綱改正が行われ、全国で受皿連携施設の確保が不要となることを願ってやみません。
※1厚生労働省「【連携状況別】家庭的保育事業等(居宅訪問型保育事業を除く)の連携施設設定数」
※2「家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準の一部を改正する省令」(平成31年厚生労働省令第49号)第6条・附則第3条