2019年12月26日
全国小規模保育協議会が国に政策提言を行ってきた「保育ソーシャルワーカー配置」が、令和2年度(2020年度)厚生労働省 保育関係予算概要に盛り込まれました!
※ 名称は「保育所等における要支援児童等対応推進事業」です。
保育ソーシャルワークとは?
子どもたちを取り巻く環境が大きく変化する中で、保育園でも多様な子育て問題への対応が求められています。
養育不安や子ども虐待といった親子の問題、貧困やDV、多国籍化する家庭や家族の問題、子どもと養育者の疾病や障害、 さらには保育者と保護者のコミュニケーショントラブルなど、その種類はさまざま。通常の保育では対応しきれない場合も少なくありません。
そこでフローレンスは、課題を抱える親子により専門的なアプローチをするべく、「保育ソーシャルワーク」の取り組みを始めました。通常保育園で行う保護者支援に加えて、相談支援・ソーシャルワークの視点を持って親子や家庭の課題に対応する専門スタッフ「保育ソーシャルワーカー」を設置する試みです。
保育ソーシャルワーカーをおくことで、養育困難や虐待など緊急度の高いケースはもちろん、これまで保育スタッフが「気になるけれど、どこに相談すればよいのかわからない」「大事にするほどではないかもしれない」と見守りがちにしていたケースについても、丁寧に状況を確認し対応できるようになりました。
フローレンスでの実践をもとに、全国小規模保育協議会としては「最も厳しい状況の家庭にも寄り添える小規模保育でありたい」と考え、保育ソーシャルワークの実践を全国に広げていこう、と決定。積極的な政策提言を行ってまいりました。
地域連携推進員(仮称)とは
来年度の予算案において、保育ソーシャルワーカー配置は「保育所等における要支援児童等対応推進事業」という名称で実現いたしました。
出典データ保管先:
令和2年度(2020年度)厚生労働省 保育関係予算概要
https://www.mhlw.go.jp/content/000581431.pdf
基幹保育所に地域連携推進員(仮称)を配置し、基幹保育所内で相談支援を実施しつつ、他の保育所等への巡回支援も行っていきます。推進員は要保護児童対策協議会と連携し、保育所で見つけたケースを各関係機関と繋げ、協議していくのです。
地域連携推進員は、名前は異なれど、全国小規模保育協議会が提案してきた保育ソーシャルワーカーの役割そのものです。
この仕組みが機能することで、下流の児童相談所マターになる前の、上流の保育所の時点で親子の変化に気づき、適切に社会資源に繋いでいくことが可能になってくることが期待されます。
厚生労働省が保育所におけるソーシャルワークが可能になるスキームを作っても、自治体が手を挙げて、保育ソーシャルワーカーを配置する保育所を公募したり委託しなければ、絵に描いた餅となってしまうため、心ある地方議員や自治体職員に「うちの自治体でやらないの?」「うちの自治体でやろうよ」と声を上げていただくことが望まれます。