7/7に開催された内閣府「子ども・子育て会議(第61回)」における、駒崎理事の提言をご紹介いたします。
◎「保育の必要性認定」を撤廃し、全ての子どもたちが保育園を利用できるよう提言
【概要】
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- 専業主婦(夫)家庭や、フリーランス等、労働時間が一定基準を満たさない保護者の場合、「保育の必要性認定」の要件に合致しないため、現行制度では子どもは保育園に通えません。
- 専業主婦家庭は、共働き世帯に比べ、周囲からのヘルプが得られにくく、 孤独と孤立に陥りやすく、24時間小さい子どもと一緒にいることで虐待のリスクを高めています。
- 親の就労の有無によって、子どもが専門的で質の高い保育を受けられるか否かに差が出ている保育園制度の現状は、こどもの権利が尊重されていません。
- こども基本法に照らして、こどもが「安心安全に成長」でき、「こどもの最善の利益」が実現されるために、保育園のあり方を見直す時期がきています。
- 「保育の必要性認定」を撤廃し、すべての家庭が、その家庭に合わせた頻度で保育園を利用できるようにしてください。
【補足:調査報告】
1.未就園児(無園児)家庭の定期保育ニーズ
フローレンスと日本総研が行った全国アンケート調査によると、未就園児(無園児)をもつ家庭の過半数が定期保育サービスの利用を希望していることが分かりました。利用頻度は週1〜2回、短時間での利用を希望しています。
無園児家庭は、保育園等を利用している家庭と比べ、子育ての中で孤独感を感じるという割合が高くなりました。
また、孤独を感じている家庭ほど、定期保育サービスを使いたいと感じていることがわかりました。
そして、虐待につながるリスクのある家庭ほど、定期保育サービスを求めていることがわかりました。
2.未就園児(無園児)の受け入れキャパシティ試算
待機児童問題が解消しつつある中、保育園にはすでに空きが出ています。また少子化により、この空き定員数は増加傾向にあります。
フローレンスと日本総研の試算により、保育所等の空き定員を利用して、すべての未就園児(無園児)が週1日通うことは可能ということが分かりました。保育園は、無園児の受け皿になりうるのです。
3.未就園児(無園児)の定期利用にかかる財源試算
少子化で利用児童数は減少するため、国の保育所等への補助額は年々減少します。この余剰となる補助額を無園児の定期預かり費用に充てる試算をしました。
現在の国の補助額の範囲内で、2028年には、未就園児(無園児)の定期利用ニーズに応じた預かり費用を賄えることがわかりました。
【まとめ】
- 無園児家庭には保育園を定期的に利用したいニーズがあり、一方、保育園には、その受け皿となるキャパシティがあることがわかりました。
- すべての子どもに質の高い保育を受ける権利が保障されるべきです。
- 私たちは、保育の必要性認定を撤廃し、保育園が全ての子どもたちと親たちのセーフティーネットになるよう、提言しました。
◎公定価格の賃借料加算の算定方法を見直すよう要望
- 賃借料加算や冷暖房費加算の「利用子ども数×単価」の算定方法では、子どもの入所率が下がると補助金収入が減ってしまいます。
- 建物賃借料や冷暖房費は毎月定額なのに、子どもの数により収入が変動してしまう現在の加算の仕組みでは、今後、保育園等の量的拡充や少子化等により、保育園等の入所率が下がると事業者負担が増し経営を圧迫していきます。
- 厚生労働省の「子ども・子育て支援推進調査研究事業」調査結果によると保育施設の5割超が人口減少により運営維持が困難な状況です。
- また、子ども1名欠員の場合の賃借料加算の影響は、100名定員の保育園では「1/100」減収ですが、19名定員の小規模保育事業では「1/19」減収になります。
規模が小さければ小さいほど、1名あたりの単価が高いので、小規模保育事業を運営する事業者にとって非常に深刻な問題です。
- 企業主導型保育事業では、在籍児童数で変動するのではなく「定員数」に応じて加算額が算定されています。
- 利用子ども数に応じて施設・事業者側で調整ができない費用に関わる加算については、企業主導型保育事業と同様に「定員数」で算定するように見直してくださいと要望しました。
詳細は内閣府ホームページをご覧ください。
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