2023/12/6に開催されたこども家庭庁「子ども・子育て支援等分科会(第4回)」における、駒崎理事の提言をご紹介いたします。
◎保育園の運営を園ごとに譲渡しやすい仕組みをつくってください
【背景】
現状、保育園を他法人に譲渡する場合、認可を引き継ぐことができません。(例外として、株式会社が別の株式会社の完全子会社化するなど、運営会社が変わらない場合は引き継ぎが可能)
そのため、一旦閉園し譲渡先法人で再度開園する手続きを取る必要があります。自治体によっては前例がない等の理由ですぐに対応ができず1年先、2年先の譲渡実施を求められるケースもあります。
【要望】
少子化および待機児童問題の解消によって、将来起こると想定される保育所の大量閉園に備え、保育園譲渡のルールを整備してください、と要望しました。
◎公定価格の賃借料加算や冷暖房費について、算定方法を見直してください
【背景】
賃借料加算や冷暖房費加算の「利用子ども数×単価」の算定方法では、子どもの入所率が下がると補助金収入が減ってしまいます。
建物賃借料や冷暖房費は毎月定額なのに、子どもの数により収入が変動してしまう現在の加算の仕組みでは、今後、保育園等の量的拡充や少子化等により、保育園等の入所率が下がると事業者負担が増し経営を圧迫していきます。規模が小さければ小さいほど影響が大きいため、特に小規模保育事業を運営する事業者にとって非常に深刻な問題です。
【要望】
利用子ども数に応じて施設・事業者側で調整ができない費用に関わる加算については、定員数で算定するように見直してください、と要望しました。
◎改姓前の保育士資格証を、再発行しなくても証明書として使えるようにしてください
【背景】
保育士資格の権利は生涯有効であり、一度取得すれば定期的な更新は必要ありません。しかし「結婚などによる氏名の変更」にあたっては、保育士資格の更新が必要とされています。
保育士資格保持者は女性の方が圧倒的に多く、改姓の手続き負担が重くのしかかっています。自治体監査の際に、旧姓の保育士証について「これは職員本人のものとは判断できない」との指摘を受け、再発行を求められるケースが散見されます。
【要望】
保育士資格証の本人確認は登録番号(ID)で行う仕組みとし、旧姓の書類でも差し支えないように各都道府県に通知を出してください、と要望しました。
◎病児保育室の固定補助金を増額してください
【背景】
共働き世帯が増える中、もはや病児保育は子育て家庭のインフラとなっています。しかし病児保育施設の数は十分に増えず、運営している少数の病児保育室に利用希望が殺到している状況です。
病児保育施設が広がらない要因の一つは、補助金額の低さにあります。病児保育室の補助金の建付けは「固定補助+利用に応じた加算補助」の2段階となっていますが、特に不足しているのが「固定補助」です。
病児保育の利用は見込みが立てづらく稼働が読めない一方で、人件費や施設家賃など多額の固定費がかかります。現状の補助金額ではその固定費をカバーすることができず、赤字になるリスクが高いのが現状です。
【要望】
補助金のうち「固定補助」を増額し、地域貢献の意欲がある法人が病児保育室を開設できるようにしてください、と要望しました。
詳細はこども家庭庁ホームページをご覧ください。
子ども・子育て支援等分科会: こども家庭庁(リンク)
子ども・子育て支援等分科会(第4回)会議資料はこちら