お知らせ news & topics

2020.05.18

東京支部 東京都議会各会派巡りレポート【前編】

2020年5月18日

こんにちは。全国小規模保育協議会 東京支部広報担当の小林と申します。

今回は2020年2月7日に行われた、東京支部の有志による、東京都議会各会派巡りのレポートを全2回にわたってお届けいたします。

今回、会派巡りに集まったのは、東京支部長の齋藤祐善さん、正光寺保育園の髙橋寿光さん、つながり保育園まちだ施設長の大西正子さん、名古屋からご参加のUPBEAT International School代表・大塚早織さん、ちゃのま保育園・宮村柚衣さんの計5名。いずれも小規模保育(0-3歳未満児を対象とした、定員が6人以上19人以下の少人数で行う保育)の運営・経営を行う会員メンバーです。

協議会では、事前に行ったワークショップにおいて、参加者全員で出し合った小規模保育を取り巻く困り事を元に「要望書」を作成。その中で、小規模保育所が直面する制度的課題を、大きく分けて4つ取り上げました。

①施設長が「保育士」として働けない。
②小規模保育に適したキャリアアップ研修がない。
③保育士の宿舎借り上げ制度(家賃補助)が不安定すぎる。
④小規模保育を「東京都」が応援できる仕組みがない。

①施設長が「保育士」として働けない。
小規模保育園では、子どもの数が少ないため、保育士も少人数で運営することが基本となります。ギリギリの人数で回すには、当然シフト組みもシビアとなり、1人1人の負担や責任が大きく、保育士が事故や急病等で出勤できない事態にも対応が困難になってしまいます。

そうした中で、保育士の資格を持つ施設長が一保育士としてシフトに入れば、現場の負担は大きく減るはずなのですが、現状はそれができません。施設長が保育士として少しでも現場に入ってしまうと、管理者設置加算(保育士とは別に管理者を配置すると受けられる報酬)が適用されず、年間600万円以上の減収となってしまうためです。

こうした現状の制度を、保育士の急病時や、子どもが少ない時間帯だけでもせめて緩和してほしいというのが、①の課題に対する要望です。

②小規模保育に適したキャリアアップ研修がない。
保育士は、国の制度により創設された「キャリアアップ研修」を受けることで、処遇改善加算(保育士の賃金向上を目的とした報酬)を受給する資格が得られます。

最大4万円が支給されるこの制度は、公定価格上の賃金が低い保育士の給与底上げに大きく貢献する仕組みですが、問題はその内容です。保育士は、障害保育、食育、保護者支援、マネージメントなど、合計8つの専門分野から自分の役職に応じて研修を受けることができますが、これらは大規模保育園向けに設定された分野であり、職員の数や設備に差がある小規模保育所では、せっかく学んだ知識やノウハウが活かせないことも多いそうです。

貴重な時間を割いて研修を受けるのですから、できれば現場で実践できる学びを得たいもの。各分野、研修内容を絞り、小規模向けに特化した内容にできないかというのが、②の課題に対する要望。

③保育士の宿舎借り上げ制度(家賃補助)が不安定すぎる。
東京都では、保育士不足の解消に向けて、遠方からも志望者を呼び入れやすくするため、各市区町村とともに宿舎借り上げ制度を設定し、毎月上限82,000円を家賃の全額または一部として補助しています。

一方で、この制度は現状2021年3月までという期限が設けられてており、かつ地域によっては制度廃止の検討が毎年発せられるなど、決して安定的な制度とは言えない状況です。また、市区町村によって運用ルールにバラツキがあり、小規模保育所の保育士が除外されていたり、また別の地域では保育士以外にも適用範囲が広げられたりとまちまち。

生活の基礎となる「住居」に関するこの制度は、保育士が長期的に安心して働ける環境を守るために、もはや不可欠なもの。ついては制度の安定的な継続と、ルールや適用範囲の明確化ができないかというのが、③の課題に対する要望。

④小規模保育を「東京都」が応援できる仕組みがない。
保育士を取り巻く環境や制度の細かな設定は、基本的に市区町村がそれぞれ抱える待機児童の数や、予算、その他の地域課題に対する優先度などを考慮して行われています。よって自治体との協議の場は、形式的には開かれていると言えるかもしれません。反面、自治体を挟む形で東京都や国との協議の場は、間接的に遠くなってしまうという見方もできるのではと思います。

最後の要望は、そうした政策協議の場を、市区町村だけでなく、東京都とも積極的に設けられるようできないか、というもの。今回の会派巡りでは、これら4つの課題を整理し、それぞれに対する要望を「要望書」にまとめ、提言することがミッションでした。

【前編】では、どんな切り口で、何を提言したのかを誰もがわかりやすいように、具体的な課題と要望をまとめさせていただきました。次回【後編】では、各会派との話し合いの様子を、写真つきでレポートいたします。

次回もよろしくお願いいたします。