2019年8月9日
8/7(水)に実施された都民ファーストの会 政策ヒアリングに全国小規模保育協議会 宮村理事と理事会メンバーが参加し、小規模保育に関する意見書を提出いたしました。
3つの提言内容をご紹介いたします。
1.「保育ソーシャルワーカー」設置モデル事業の創出について
児童虐待件数は過去最多となり、保育園における対応の重要性が高まる一方で、リスクの高いケースでは児相等への通告にとどまり、継続的な関わり方のノウハウや適切な連携体制が確立されていない状況があります。
そこで、認定NPO法人フローレンスでは、2018年より自園を巡回するソーシャルワーカーを雇用し、専門性の異なる複数の相談員がチームを組んで、園における様々な課題に対応する体制を整備。
対応実績は2018年度で23件、2019年度(8月まで)で17件と在園児童家庭数の約1割にのぼり、児童相談所や他の社会資源との早期連携において高い効果が得られました。
子育て家庭の課題を、芽のうちに上流の段階で解決できる体制を整えることで、現在、キャパシティの不足が課題視されている児童相談所に至るケースの件数自体を減らすことも視野に入れています。
政策的に、小学校区に1チーム(2人〜)、ソーシャルワークを行う「保育ソーシャルワーカー」を置き、保育園利用家庭が抱える虐待・子どもの貧困・障害や外国籍などの親御さんの抱える問題を解決し、新たなセーフティネットを生み出すべく「保育ソーシャルワーク」のモデル事業創出と、効果検証の実施を提案いたしました。
2.小規模保育施設に「誰でもトイレ」を作らなくてよいとする通知の再発出を依頼
以前は小規模保育施設において、車椅子の方の利用が全く無い場合でも「誰でもトイレ」の設置を基礎自治体に指導される状況がありました。
駒崎理事長の働きかけにより、現在は小規模保育施設においては「誰でもトイレ」設置の実質的な免除が明文化されていますが、都内の基礎自治体の一部では、2019年度においても小規模保育施設に対して「誰でもトイレ」設置指導がなされている現状を受けて、東京都より通知の再発出などのアクションを行っていただけるよう依頼いたしました。
ご参考:高齢者、障害者等が利用しやすい建築物の整備に関する条例 第 14 条の適用に係る基本的な考え方について
3.「保育従事職員宿舎借り上げ支援事業」の存続を依頼
平成28年度より、保育士人材の確保・定着・離職防止を図る為、保育従事職員宿舎借り上げ支援事業が開始されました。
<保育従事職員宿舎借り上げ支援事業とは?>
保育事業者(保育園)が借上げた物件に保育従業者(保育士)が住み、家賃の全額または一部を補助する制度。
東京都では、補助基準額を一戸あたり月額82,000円としており、内訳として 国・都が3/4(61,500円)、区市町村が1/8(10,250円)、保育事業者が1/8(10,250円)という割合で負担。この制度が保育士にとっての実質的な処遇改善となっています。
本制度は国の緊急対策によって生み出された制度であるがゆえ、保育従事職員宿舎借り上げ支援事業の存続を不安視する声が保育事業者に広がりつつあります。
国として制度の存続時期が明言されておらずとも、東京都として制度を存続していただけるよう依頼いたしました。