2019年11月12日
10/31に開催された内閣府「子ども・子育て会議(第47回)」における、小規模保育に関する駒崎理事長の提言をご紹介いたします。
1.居宅訪問型一時預かり事業の対象児童・実施要件緩和の提案
一時預かり事業は、2015年の子ども子育て支援事業において、以下の4類型に分類されました。
①一般型・・・・子どもが保育所、幼稚園、認定こども園等に通っていない場合に利用することが出来る
②余裕活用型・・利用している子どもの数が定員に達していない保育施設で行われる
③幼稚園型・・・普段の幼稚園の教育時間の前後、または春休みや夏休みなどの長期間の休業日に幼稚園等において一時的に預かる
④訪問型・・・・子どもの自宅に直接職員が訪問をして一時的に預かる
このうち、①②③は施設型、④は居宅訪問型となります。居宅訪問型は、現在のところ事業者数が全国で0件と、全く活用されておりません。
(引用:第45回子ども・子育て会議「子ども・子育て支援新制度施行後5年の見直しに係る検討について」資料)
要因としては、一般型・余裕活用型・幼稚園型では対象児童を細かく制限していないのに対し、居宅訪問型は以下ア~ウに該当する児童のみが対象となります。
ア 障害、疾病等の程度を勘案して集団保育が著しく困難であると認められる場合。
イ ひとり親家庭等で、保護者が一時的に夜間及び深夜の就労等を行う場合。
ウ 離島その他の地域において、保護者が一時的に就労等を行う場合。
さらに、実地要件にも「①ー③を実施出来ない場合」との定めがあり、補助単価も十分ではないため、手を挙げたい事業者にとってはハードルが高い状況といえるでしょう。
一方で、1,500人超の多胎家庭の保護者によるアンケートでは、「通院したくても一時保育の施設まで連れて行くことが困難」「荷物が多すぎて持っていけないので、断念するしかない」という声が上がっており、施設まで子どもを連れて行くことが困難な多胎家庭や、乳幼児の多子家庭からの居宅訪問型一時保育のニーズは非常に高いです。
この状況を受けて、居宅訪問型一時預かり事業の対象児童を一般型同様の基準への緩和と、実施要件の撤廃を提案いたしました。
2.特定の連携施設でないという理由で、公定価格の「連携施設を設定しない場合」の減算となるルール廃止を
特定の連携施設で卒園後の受け皿を設けることの難しさから、先行入所調整方式や指数加点方式を市町村主導で実施するケースが増えています。希望の保育園を選べ、かつ卒園後の受け皿の不安も解消されるため、保護者にとっても良い仕組みです。
一方で、ある市町村には、上記の取り組みが家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準(平成26年厚生労働省令第61号)第6条第1項の3号に掲げる連携協力とみなさず、公定価格の「連携施設の設定がなされていない場合」として減算されてしまうルールが存在します。
現状は市町村によって連携協力とみなすか否かの判断が分かれているため、先行入所調整方式や指数加点方式で家庭的保育事業等の卒園後の受け皿を確保した場合には減算しないとする通知を出して頂けるよう依頼いたしました。
<ご参考>
■公定価格FAQ No.117
家庭的保育事業等は、連携施設を設けることが要件となっており、公定価格上、基本分単価に「連携施設との連携に係る費用」が積算されています。このため、たとえ経過措置期間中であっても、連携施設の設定がなされていない場合には、減算の対象となります。
なお、連携施設は、家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準(平成26年厚生労働省令第61号)第6条第1項各号に掲げる全ての連携協力が確保されたものであることとします。
■家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準(平成26年厚生労働省令第61号)第6条第1項
一 利用乳幼児に集団保育を体験させるための機会の設定、保育の適切な提供に必要な家庭的保育事業者等に対する相談、助言その他の保育の内容に関する支援を行うこと。
二 必要に応じて、代替保育(家庭的保育事業所等の職員の病気、休暇等により保育を提供することができない場合に、当該家庭的保育事業者等に代わって提供する保育をいう。以下この条において同じ。)を提供すること。
三 当該家庭的保育事業者等により保育の提供を受けていた利用乳幼児(事業所内保育事業(法第六条の三第十二項に規定する事業所内保育事業をいう。以下同じ。)の利用乳幼児にあっては、第四十二条に規定するその他の乳児又は幼児に限る。以下この号において同じ。)を、当該保育の提供の終了に際して、当該利用乳幼児に係る保護者の希望に基づき、引き続き当該連携施設において受け入れて教育又は保育を提供すること。
詳細は内閣府ホームページをご覧ください。
子ども・子育て会議: 子ども・子育て本部 – 内閣府(リンク)
子ども・子育て会議(第47回)会議資料はこちら