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2021.01.15


【報告】内閣府「子ども・子育て会議(第55回)」提言のご紹介

12/25に開催された内閣府「子ども・子育て会議(第55回)」における、小規模保育などに関する駒崎理事長の提言をご紹介いたします。

1.小学校の学級少人数化に伴い、保育園の人員配置基準見直しも要望

公立小学校において、よりきめ細やかな指導が行えるように、学級人数の上限(現行40人)を35人に見直し、来年度から5年間をかけて低学年から段階的に少人数化に対応することが決定しました。また、これに対応するために、令和3年度文部科学関係予算案に、教職員配置の充実のための費用が計上されています。

一方で、保育園で1人の保育士が見る児童数は、海外と比較しても多く、きめ細やかな保育を行える状況とは言い切れません。特に、3歳児は保育士1人当たり20人、4歳以上児は保育士1人で30人となっていて、目を行き届かせるのは非常に困難な児童数です。

人員配置基準(保育士1人当たりの年齢別児童数)※1

(※1)(日本の人員配置基準について)「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」第33条第2項
(海外の人員配置基準について)株式会社シード・プランニング「諸外国における保育の質の捉え方・示し方に関する研究会 (保育の質に関する基本的な考え方や具体的な捉え方・示し方に関する調査研究事業) 報告書」(平成31年3月29日) 

小学校の学級少人数化に伴い、保育現場においても、保育士1人当たりが見る児童数を少人数化し、安全で質の高い保育を提供できるように、人員配置基準の見直しを行っていただけるよう要望いたしました。

2.保育園の空き定員で障害児の児童発達支援を行えるよう提案

児童福祉法により、未就学の障害児は、障害児通所施設に通い、児童発達支援(日常生活における基本的な動作の指導、知識技能の付与、集団生活への適応訓練等)を受けられます。障害児通所施設には、利用定員に応じた報酬や児童指導員等の配置加算額などが支払われます。

現在、保育園と障害児通所施設は、隣接させることはできても、保育園で障害児の児童発達支援を行うことはできません。

「障害のある子どもは障害児通所施設で、健常児は保育園で」という分断を早期に生むことは、社会的包摂(インクルーシブ)の理念からは遠ざかってしまうため、障害児と健常児が共に過ごして成長できる環境を構築していくことが重要と考えます。

保育園の待機児童数は平成29年以降順調に減少し、令和2年4月1日時点で12,439人(※2)となっており、来年度から4年間で約14万人の保育の受け皿が整備(※3)されれば、待機児童問題はほぼ解消します。

(※2) 厚生労働省子ども家庭局保育課「保育所等関連状況取りまとめ(令和2年4月1日)」

(※3) 全世代型社会保障検討会議(第12回)配布資料「世代型社会保障改革の方針(案)」(令和2年12月14日)

待機児童問題が解消に向かう中、定員割れする保育園が出てくることが想定されます。そこで、空き定員分を活用して障害児を受け入れ、児童発達支援をできるようにする制度改正を提案いたしました。

3.企業主導型保育園にも障害児保育加算が適用されるよう要望

認可保育事業である地域型保育事業(※4、居宅訪問型保育事業を除く)において障害児を受け入れる場合、障害児2人につき、保育士1人を配置するために必要な経費「障害児保育加算」が補助されます。

(※4)小規模保育事業・家庭的保育事業・居宅訪問型保育事業・事業所内保育事業の4つ。2015年に開始された「子ども・子育て支援新制度」で認可保育事業となった。

認可外保育事業である企業主導型保育事業には、この「障害児保育加算」の補助がありません。

企業主導型保育事業所にも地域型保育事業所と同様に、障害児の申し込みは一定数あります。また、入園時は障害児としての入園でなくても、保育園に通っている間に園児が障害児となる場合もあり、企業主導型保育事業所で障害児を預かるケースが発生することはあり得ます。

企業主導型保育事業所であっても、障害児が安心して通える環境を整備できるように、障害児保育加算の適用を要望いたしました。

4.既存施設では対応できないマイクロニーズに応えるため、新たな小規模保育類型(S型)の創設を要望

例えばあるエリアに6人の待機児童が発生したとします。待機児童の増加トレンドにおいては将来的なニーズの増加を見込んで、認可保育所や小規模認可を設置することは合理性がありました。

しかし、待機児童の減少フェーズにおいては、認可保育所はおろか小規模認可保育所も設置することはできなくなります。こうしたマイクロニーズに対応するためには、既存の制度枠組みでは対応できません。

そこで、2人以上8人以下の新たな小規模保育類型(小規模保育事業S型)を提案します。S型は、これまでの小規模保育のように商業ビルやマンション等だけでなく、既存施設要件にこだわらず、児童館や公民館、小学校等の地域資源の中でも運営できるようにしていきます。そうした「改装と所有」を前提としない形態であれば、待機児童がいなくなった場合にも撤退しやすく、少人数の保育の受け皿をスピーディに整備できます。

一方で、保育の質を担保するために、保育士資格要件については100%を保持することを提案します。

小規模保育S型(案)

定員1人以上5人以下の家庭的保育事業がありますが、主には家庭的保育者の居宅で保育を行うため、保育を必要とするエリアに家庭的保育者がいるとは限らないことや法人運営の必要性から、小規模保育をより小さくできる方向性での制度アップグレードを提案いたしました。

詳細は内閣府ホームページをご覧ください。

子ども・子育て会議: 子ども・子育て本部 – 内閣府(リンク

子ども・子育て会議(第55回)会議資料はこちら