【報告】こども家庭庁の2023年度予算案の概算要求に 全国小規模保育協議会の提言が盛り込まれました!

8月30日、内閣官房は、2023年4月にできるこども家庭庁の23年度予算案の概算要求を公表しました。

新規事業の柱の一つが「未就園児」への支援で、
保育園や幼稚園に通っていない「未就園児」や「無園児」と呼ばれる子どもの支援を本格化させるため、
23年度から、定員に空きのある保育園で定期預かりといった新たな支援のモデル事業を自治体で開始します。

これは、全国小規模保育協議会が、かねてから子ども子育て会議などの場で提言してきた
「全ての子どもたちが保育園を利用できるように」という方針を取り入れたものです!

令和5年度予算概算要求の概要 (こども家庭庁)

(2)保育の受け皿整備・保育人材の確保等一部新規】【一部推進枠

・多様な保育の充実

保育所の空き定員等を活用し、未就園児を定期的に預かるためのモデル事業を実施するとともに、外国籍のこどもを受け入れるため
の加配職員の補助要件の緩和を行う。


令和5年度予算概算要求の概要 (こども家庭庁)(P.7)より

 

全国小規模保育協議会の提言

待機児童問題が解消しつつある今、保育園は、利用児童のためだけではなく、地域の子育て家庭のための施設であるべきだと考えます。地域のすべての親子に開かれた「地域おやこ園」へ移行できるようにするためには制度改正等が必要です。

法令上※、保育の必要性認定が受けられるのは、就労、妊娠・出産、保護者の疾病・障害等の事由により、家庭において必要な保育を受けることが困難な子どもに限定されています。
    ※子ども・子育て支援法第19条第1項第2号・第3号、子ども・子育て支援法施行規則第1条の5

しかし、保育を必要としているのは、必要性認定を受けられる家庭だけではありません。

週1〜週6まで、その家庭に応じたグラデーショナルな利用を可能とし、どのような家庭でも地域の保育園を利用できるように、法令改正を要望しています。

保育所・幼稚園に通園することで、子ども達の虐待リスクを低下させたり、自閉症やADHD等の発達障害を早期に発見し、早期に支援に繋げていくことができます。

しかし、現状も保育園にも幼稚園にも行っていない3歳以上の子どもたちが5万人いることがわかっています。

出典:厚生労働省「地域における保育所・保育士等の在り方に関する検討会(第1回)」資料3
https://www.mhlw.go.jp/content/11907000/000784219.pdf

保育園にも幼稚園にも行けず、家庭の経済力や保護者の意識によって左右されてしまう子ども達は、最も脆弱性が高い層であるとも言えます。

3歳以上児の義務教育化を実現し、こうした子ども達を早期に社会的支援の網の目で支えていくことも必要です。

 

過去の提言内容のご紹介


>1.「保育の必要性認定」を撤廃し、全ての子どもたちが保育園を利用できるようにしてください。

 


>1.保育園を誰もが入れる「みんなの保育園」に
>〜保護者の就労要件を撤廃し、就労の有無や形態に関わらず保育園を利用できるよう提言〜

 


>2.地域の全ての子どもたちに開かれた保育園に

 

全国小規模保育協議会は、全ての子どもたちが保育園を利用できる社会になるよう、引き続き具体的な提言を行ってまいります。

【報告】内閣府「子ども・子育て会議(第61回)」提言のご紹介

7/7に開催された内閣府「子ども・子育て会議(第61回)」における、駒崎理事長の提言をご紹介いたします。


◎「保育の必要性認定」を撤廃し、全ての子どもたちが保育園を利用できるよう提言

【概要】

    • 専業主婦(夫)家庭や、フリーランス等、労働時間が一定基準を満たさない保護者の場合、「保育の必要性認定」の要件に合致しないため、現行制度では子どもは保育園に通えません。
    • 専業主婦家庭は、共働き世帯に比べ、周囲からのヘルプが得られにくく、 孤独と孤立に陥りやすく、24時間小さい子どもと一緒にいることで虐待のリスクを高めています。
  • 親の就労の有無によって、子どもが専門的で質の高い保育を受けられるか否かに差が出ている保育園制度の現状は、こどもの権利が尊重されていません。
  • こども基本法に照らして、こどもが「安心安全に成長」でき、「こどもの最善の利益」が実現されるために、保育園のあり方を見直す時期がきています。
  • 「保育の必要性認定」を撤廃し、すべての家庭が、その家庭に合わせた頻度で保育園を利用できるようにしてください。

【補足:調査報告】

1.未就園児(無園児)家庭の定期保育ニーズ

フローレンスと日本総研が行った全国アンケート調査によると、未就園児(無園児)をもつ家庭の過半数が定期保育サービスの利用を希望していることが分かりました。利用頻度は週1〜2回、短時間での利用を希望しています。

無園児家庭は、保育園等を利用している家庭と比べ、子育ての中で孤独感を感じるという割合が高くなりました。

また、孤独を感じている家庭ほど、定期保育サービスを使いたいと感じていることがわかりました。

そして、虐待につながるリスクのある家庭ほど、定期保育サービスを求めていることがわかりました。

2.未就園児(無園児)の受け入れキャパシティ試算

待機児童問題が解消しつつある中、保育園にはすでに空きが出ています。また少子化により、この空き定員数は増加傾向にあります。

フローレンスと日本総研の試算により、保育所等の空き定員を利用して、すべての未就園児(無園児)が週1日通うことは可能ということが分かりました。保育園は、無園児の受け皿になりうるのです。

3.未就園児(無園児)の定期利用にかかる財源試算

少子化で利用児童数は減少するため、国の保育所等への補助額は年々減少します。この余剰となる補助額を無園児の定期預かり費用に充てる試算をしました。

現在の国の補助額の範囲内で、2028年には、未就園児(無園児)の定期利用ニーズに応じた預かり費用を賄えることがわかりました。

【まとめ】

  • 無園児家庭には保育園を定期的に利用したいニーズがあり、一方、保育園には、その受け皿となるキャパシティがあることがわかりました。
  • すべての子どもに質の高い保育を受ける権利が保障されるべきです。
  • 私たちは、保育の必要性認定を撤廃し、保育園が全ての子どもたちと親たちのセーフティーネットになるよう、提言しました。

◎公定価格の賃借料加算の算定方法を見直すよう要望

  • 賃借料加算や冷暖房費加算の「利用子ども数×単価」の算定方法では、子どもの入所率が下がると補助金収入が減ってしまいます。
  •  建物賃借料や冷暖房費は毎月定額なのに、子どもの数により収入が変動してしまう現在の加算の仕組みでは、今後、保育園等の量的拡充や少子化等により、保育園等の入所率が下がると事業者負担が増し経営を圧迫していきます。 

  • 厚生労働省の「子ども・子育て支援推進調査研究事業」調査結果によると保育施設の5割超が人口減少により運営維持が困難な状況です。 

  • また、子ども1名欠員の場合の賃借料加算の影響は、100名定員の保育園では「1/100」減収ですが、19名定員の小規模保育事業では「1/19」減収になります。

規模が小さければ小さいほど、1名あたりの単価が高いので、小規模保育事業を運営する事業者にとって非常に深刻な問題です。 

 

  • 企業主導型保育事業では、在籍児童数で変動するのではなく「定員数」に応じて加算額が算定されています。


  • 利用子ども数に応じて施設・事業者側で調整ができない費用に関わる加算については、企業主導型保育事業と同様に「定員数」で算定するように見直してくださいと要望しました。

 

その他、駒崎理事長の提言内容の詳細はこちらをご覧ください。


詳細は内閣府ホームページをご覧ください。

子ども・子育て会議: 子ども・子育て本部 – 内閣府(リンク

子ども・子育て会議(第61回)会議資料はこちら

【報告】「児童福祉施設設備基準関係の改正について(保育所等関係)」の改正事項に全国小規模保育協議会の提言が盛り込まれました!

令和4年7月7日(木)に第61回子ども・子育て会議が開催されました。

そこで報告された「児童福祉施設設備基準関係の改正について(保育所等関係)」内で
全国小規模保育協議会が提案していた「保育園の空き定員で障害児の児童発達支援を行えるように」という内容が盛り込まれました!

資料9 児童福祉施設設備基準関係の改正について (PDF形式:217KB)

<改正事項>
保育所等に関し以下の取組を行うため、児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(昭和23年厚生省令第63号)について以下の改正を予定している。
保育所等における児童の安全確保のための計画策定の義務化
保育所と児童発達支援事業の併設を可能とするため、設備及び人員の専従規定の緩和
保育所における看護師等のみなし配置に関する要件緩和

全国小規模保育協議会の提言

第55回子ども子育て会議にて

2.保育園の空き定員で障害児の児童発達支援を行えるよう提案

児童福祉法により、未就学の障害児は、障害児通所施設に通い、児童発達支援(日常生活における基本的な動作の指導、知識技能の付与、集団生活への適応訓練等)を受けられます。障害児通所施設には、利用定員に応じた報酬や児童指導員等の配置加算額などが支払われます。

現在、保育園と障害児通所施設は、隣接させることはできても、保育園で障害児の児童発達支援を行うことはできません。

「障害のある子どもは障害児通所施設で、健常児は保育園で」という分断を早期に生むことは、社会的包摂(インクルーシブ)の理念からは遠ざかってしまうため、障害児と健常児が共に過ごして成長できる環境を構築していくことが重要と考えます。

保育園の待機児童数は平成29年以降順調に減少し、令和2年4月1日時点で12,439人(※2)となっており、来年度から4年間で約14万人の保育の受け皿が整備(※3)されれば、待機児童問題はほぼ解消します。

(※2) 厚生労働省子ども家庭局保育課「保育所等関連状況取りまとめ(令和2年4月1日)」

(※3) 全世代型社会保障検討会議(第12回)配布資料「世代型社会保障改革の方針(案)」(令和2年12月14日)

待機児童問題が解消に向かう中、定員割れする保育園が出てくることが想定されます。そこで、空き定員分を活用して障害児を受け入れ、児童発達支援をできるようにする制度改正を提案いたしました。

 

引き続き、全国小規模保育協議会は、全ての子どもたちが保育園を利用できる社会になるよう、具体的な提言を行ってまいります。

【報告】政府「骨太方針2022」に 全国小規模保育協議会の提言が盛り込まれました!

6月7日、「経済財政運営と改革の基本方針2022 新しい資本主義へ~課題解決を成長のエンジンに変え、持続可能な経済を実現~」(骨太方針2022)が閣議決定されました。

岸田政権として初となる予算編成や重要施策の方向性を示す方針、通称【骨太の方針】に、かねてから子ども子育て会議などの場で、全国小規模保育協議会が提言してきた「全ての子どもたちが保育園を利用できるように」という方向性を目指す文言が入りました!

全てのこどもに、安全・安心に成長できる環境を提供するため、教育・保育施設等にお いて働く際に性犯罪歴等についての証明を求める仕組み(日本版DBS)の導入、予防の ためのこどもの死亡検証(CDR)の検討、未就園児等の実態把握と保育所等の空き定員 の活用等による支援の推進、SNS等の活用を含めこどもの意見を政策に反映する仕組み づくり、学校給食などを通じた食育の充実、放課後児童クラブやこども食堂等様々なこど もの居場所づくり等に取り組む。こどもの貧困解消や見守り強化を図るため、こども食堂 のほか、こども宅食・フードバンク等への支援を推進する。 

経済財政運営と改革の基本方針2022 新しい資本主義へ~課題解決を成長のエンジンに変え、持続可能な経済を実現~(令和4年6月7日閣議決定)(P.13)より

全国小規模保育協議会の提言

待機児童問題が解消しつつある今、保育園は、利用児童のためだけではなく、地域の子育て家庭のための施設であるべきだと考えます。地域に開かれた「あたらしい保育園」へ移行できるようにするためには制度改正等が必要です。

法令上※、保育の必要性認定が受けられるのは、就労、妊娠・出産、保護者の疾病・障害等の事由により、家庭において必要な保育を受けることが困難な子どもに限定されています。
    ※子ども・子育て支援法第19条第1項第2号・第3号、子ども・子育て支援法施行規則第1条の5

しかし、保育を必要としているのは、必要性認定を受けられる家庭だけではありません。

週1〜週6まで、その家庭に応じたグラデーショナルな利用を可能とし、どのような家庭でも地域の保育園を利用できるように、法令改正を要望しています。

保育所・幼稚園に通園することで、子ども達の虐待リスクを低下させたり、自閉症やADHD等の発達障害を早期に発見し、早期に支援に繋げていくことができます。

しかし、現状も保育園にも幼稚園にも行っていない3歳以上の子どもたちが5万人いることがわかっています。

出典:厚生労働省「地域における保育所・保育士等の在り方に関する検討会(第1回)」資料3
https://www.mhlw.go.jp/content/11907000/000784219.pdf

保育園にも幼稚園にも行けず、家庭の経済力や保護者の意識によって左右されてしまう子ども達は、最も脆弱性が高い層であるとも言えます。

3歳以上児の義務教育化を実現し、こうした子ども達を早期に社会的支援の網の目で支えていくことも必要です。

 

過去の提言内容のご紹介


>1.「保育の必要性認定」を撤廃し、全ての子どもたちが保育園を利用できるようにしてください。

 


>1.保育園を誰もが入れる「みんなの保育園」に
>〜保護者の就労要件を撤廃し、就労の有無や形態に関わらず保育園を利用できるよう提言〜

 


>2.地域の全ての子どもたちに開かれた保育園に

 

全国小規模保育協議会は、全ての子どもたちが保育園を利用できる社会になるよう、引き続き具体的な提言を行ってまいります。

【報告】内閣府「子ども・子育て会議(第60回)」提言のご紹介

2/1に開催された内閣府「子ども・子育て会議(第60回)」における、駒崎理事長の提言をご紹介いたします。


◎子どもの預かり人数に応じた職員配置を認める通知を出してください

東京都23区のある自治体では、預かり人数が利用定員に満たない場合でも利用定員に応じた職員配置を求められています。
次月以降に園児が入園する可能性に備えて、常に利用定員に応じた職員を予め配置しておくことを要求されています。

事業者としては、子どもの預かり人数に応じた職員配置は守ります。
しかしながら、次月に備えるために、お預かりしていない子ども人数に対し、職員を配置するのは、ポスト待機児童時代で入所率が減っている中、事業者負担が増し経営を圧迫していきます。

一方で23区の他の自治体では、子どもの預かり人数に応じた職員配置を認めています。自治体によって、対応にばらつきが生じてしまっています。

厚生労働省保育課に問い合わせをしたところ、国では保育所の施設運営基準上、利用定員ではなく、預かり人数に応じた職員配置を求める解釈をしているということでした。

これをうけて、自治体に向けて、子どもの預かり人数に応じた職員配置を認める通知を出してくださいと要望しました。

 

◎東京都の「保育園で学童の預かりができる」制度を国として創ってください

東京都の2022年度予算が1月28日に発表となりました。

「小1の壁」の打破に向けた取り組みについて示した図

認証保育所による学童時の受け入れ

小1の壁を突破するために、空きスペースのある認証保育所において、学齢児を預かれるようにしよう、というものです

今後、待機児童がなくなり、保育園の充足率が下がり続けていきます。令和3年において、全体でも90%に下がり、地域型保育事業の充足率に至っては8割を切ってしまっています。

施設別の定員充足率

こうした状況の中、保育園の空き定員を活用するための多機能化は必須と言えるでしょう。

それを踏まえて、東京都の保育園内学童保育の試みを、国レベルでもできるようにしてください、と提言しました。

 

◎「保育士・幼稚園教諭等処遇改善臨時特例事業」の2022年4月以降の賃金改善要件を緩和してください

「保育士・幼稚園教諭等処遇改善臨時特例事業」において、2022年4月以降の賃金改善については、勤務当月に支払う賃金での改善が求められています。

しかし、従業員への賃金支払を勤務実績に基づき翌月払いとしている多くの法人においては、4月の賃金支払は3月の勤務実績に基づいて支払われます。
2022年4月賃金支払分(3月の勤務実績分)の改善を行うためには、2021年度内で給与改定等の変更が必要となり、事務手続きが非常に煩雑になります。

2022年4月以降に関しては、対象月に賃金改善をしていれば、支払いタイミングが勤務当月でなくても賃金改善として認める緩和措置をFAQで出してくださいと要望しました。

   (例)・4月勤務の賃金改善分を5月に支払った場合も、4月の賃金改善として認める
      ※翌年3月勤務の賃金は4月に払うが、当期中の人件費に計上する

 

◎認可外保育施設も、多子世帯の保育料負担軽減の対象施設に含めてください

多子世帯への金銭的な負担軽減の推進制度である子ども・子育て支援法施行令の第十三条「複数の負担額算定基準子どもがいる教育・保育給付認定保護者に係る特例」の負担額算定基準の子どもの対象施設は以下と示されており、認可外保育施設は対象外となっています。

  <複数の負担額算定基準子どもがいる教育・保育給付認定保護者に係る特例【抜粋】>

複数の負担額算定基準子どもがいる教育・保育給付認定保護者に係る特例【抜粋】

 一方で、同じく保護者の負担軽減を図る「幼児教育・保育の無償化」の対象施設としては、認可外保育施設も含まれており、3-5歳児クラスは「月額3.7万円まで無償」とされています。

認可外保育施設が、「幼児教育・保育の無償化」対象になっているにも関わらず、多子世帯の保育料負担軽減の対象施設に含まれないのは、保護者の負担軽減を図る制度として一貫性がありません。

香川県高松市では、地域型保育施設と接続している認可外保育施設があり、3歳以降も認可外保育施設に預けたいと希望する保護者もいますが、第2子を認可保育施設に預ける場合、多子世帯の保育料減免対象外となるため、入所に躊躇する事例もありました。

ついては、子ども・子育て支援法施行令の第十三条「複数の負担額算定基準子どもがいる教育・保育給付認定保護者に係る特例」の対象施設に認可外保育施設を加え、第2子以降の保育料減免の対象としてください、と要望しました。

 

その他、駒崎理事長の提言内容の詳細はこちらをご覧ください。


詳細は内閣府ホームページをご覧ください。

子ども・子育て会議: 子ども・子育て本部 – 内閣府(リンク

子ども・子育て会議(第60回)会議資料はこちら

【報告】内閣府「子ども・子育て会議(第59回)」提言のご紹介

12/8に開催された内閣府「子ども・子育て会議(第59回)」における、駒崎理事長の提言をご紹介いたします。


1.「保育の必要性認定」を撤廃し、全ての子どもたちが保育園を利用できるようにしてください。

2021年11月10日に日本保育協会理事長が「今後は保育の量から質の問題に重点が変わる」と表明し、保育が供給過多時代に移行しつつあるとの認識を示しました。

2020年11月に保育業界最大手のJPホールディングスグループは「児童数が減り赤字が続いた。今後も入園児が見込めない」と説明し、都内認証保育園4園を一斉閉園しました。

これらのニュースは、「保育所が供給過剰になってきている」ことを示唆するものです。自治体の積極的な取組もあり、待機児童数は昨年に続いて過去最小、東京23区と首都圏の政令指定都市では、21年4月入所を申込んだ人の倍率が平均1.00倍になりました。

厚生労働省「保育所等関連状況取りまとめ(令和3年4月1日)」保育所等の利用定員・利用児童数等の状況によると、保育所等(保育所等、幼稚園型認定こども園等、地域型保育事業)の定員充足率は減少傾向にあり、保育の供給過剰により定員割れが進んだ結果、運営を維持することができず撤退する事業者が2020年より既に現れてきています。

政府は保育所数を増やす方針を改め、ポスト待機児童時代に入ったことを明確に認識し、保育所の在り方そのものを大きく転換するべきです。

すなわち、「主に共働き家庭のためだけの保育園」から「全ての子どもたちのための保育園」へと転換していくべきです。

【概要】
専業主婦(夫)家庭や、労働時間が一定基準を満たさない保護者の場合、「保育の必要性認定」の要件に合致しないため、保育園の利用が困難です。

専業主婦家庭は、共働き世帯に比べ、周囲からのヘルプが得られにくく、孤立感等を抱える母親が、24時間小さい子どもと一緒にいることで虐待のリスクを高めています。

全ての家庭が保育園を利用できるように「保育の必要性認定」を撤廃し、家庭に合わせた頻度で週1〜2日でも保育園を利用可能とすることを要望します。

【問題背景1:高い虐待リスク】

保育園にも幼稚園にも預けられず、社会と接点を持たない児童(無園児)は多く、3歳以上でも5万人います(下記図参照 )

厚生労働省「地域における保育所・保育士等の在り方に関する検討会(第1回)」資料3

最新の報告によると、1年間の子どもの虐待死事例(57人)では、「0歳」が 28 人(49.1%)で最も多く、「2歳以下」の割合が34 人(59.7%)と半数を超える状況です。無園児率の高い低年齢で深刻な事例が多く発生しています。

また、子どもの虐待死による実父母の就業状況の事例では、実母は「無職」が 21 例(有効割合 48.8%)、実父は「フルタイム」が 24 例(同 82.8%)で最も多い結果が出ており、専業主婦世帯で多くの虐待事例が起きていることが分かります。

【問題背景2:出身家庭に起因する機会格差が生じている】

日本の既存研究(*1)によれば、親が心理的・経済的に余裕がない場合、子どもが低学歴になりやすく、成人後も、非正規雇用・低所得・相対的貧困率が高まるという結果が出ています。現代日本社会で子どもの「出身家庭に起因する機会格差」が存在していることが分かります。

*1 阿部彩. (2011). 子ども期の貧困が成人後の生活困難(デプリベーション)に与える影響の分析. 『季刊社会保障研究』46(4), 354-367

経済協力開発機構(OECD)の報告では、人生の最初の数年間は、個人の将来の能力開発と学習の基礎となるため、質の高い「保育・幼児教育」の投資は、「出身家庭に起因する機会格差」を軽減する効果があると認めています。

【問題背景3:一時預かりはほとんど機能していない】

保護者の育児疲れや、育児不安を軽減したいときに利用できる「一時預かり」もありますが、導入に消極的な自治体があったり、補助金が十分ではないために事業が広がりづらく、供給量が不足しています。令和元年度の利用実績で見ると、未就園児1人当たりでは1年間に約3日の利用にとどまっています。

一方で、ある研究では、働く母親と比較して、専業主婦の育児ストレスが高く、ストレスの主な要因として「子どもと離れた一人の時間がない」「一人きりの子育て、社会からの孤立を感じる」という結果が出ています(下表参照)。専業主婦世帯において、母親が育児から一時的に離れたり、自分以外の人と子育てをしたいというニーズが高いことが分かります。

「一時預かり」では、利用したい時に利用ができず、複数施設や他のサービスをかけもちで利用するなど、子どもの情緒や発達面を考えても、親子にとって望ましい姿とはいえない状況です。

【要望】
保育園や幼稚園は、子どもにとっては大きなセーフティーネットとなりえます。
低所得世帯でも給食があることで栄養をカバーでき、また、養育不全世帯ならば、虐待やネグレクトの兆候に、いち早く気づくことが可能です。発達障害等の傾向も、保育士や巡回訪問等の専門職が気づき、適切な療育や支援に早期に繋ぐことができます。

保護者にとっても、様々な専門家(保育士・看護師・栄養士等)に子育て不安や相談を定期的に行うことができ、安心して子育てをすることができます。

また現在は、ポスト待機児童時代に入り、全国の保育所等の定員充足率は年々低下しております。 ※定員充足率=利用児童数÷定員

これまではキャパがなく受け入れられなかった必要要件を満たしづらい家庭も保育所等で受け入れられるようになってきています。

施設別の定員充足率  ※( )は前年度比

参考:厚生労働省Press Release「保育所等関連状況取りまとめ(令和3年4月1日)」
https://www.mhlw.go.jp/content/11922000/000821949.pdf

ついては、全ての家庭が保育園を利用できるように「保育の必要性認定」を撤廃し、家庭に合わせた頻度で週1〜2日でも保育園を利用可能とすることを要望しました。

 

2.地域の実態に合わせて事業者が柔軟に利用定員変更ができるよう、自治体へ通知を出してください

上記の施設別の定員充足率にもあるとおり、特に地域型保育事業では定員充足率が低下しています。

地域の人口動向から、今後も定員が埋まらない状況が予想されたため、東京都某区に利用定員変更を相談したところ、「一律受付していない」という回答で、取り扱ってもらえませんでした。

一方、国からの通知では、「事業者から利用定員変更の届出があった場合、町村は、届出を受理せず利用定員の減少を認めないといった対応を取ることはできません。」「市町村においては、申請者との意思疎通を図り、その意向を十分に考慮しつつ、当該施設での最近における実利用人員の実績や今後の見込みなどを踏まえ、適切に利用定員を設定していただく必要がある」と示されています。

ポスト待機児童時代に入り、恒常的に利用定員を下回る受入となっている場合、経営を維持するために、利用定員数の変更を希望する事業者が増えてくると思われます。

事業者が地域の実態に合わせて柔軟に利用定員数を変更できるよう、自治体に向けて改めて通知を出してくださいと要望しました

3.高卒でも実務経験なしで保育士試験を受けられるようにしてください

平成3年4月1日以降に高校を卒業した人が保育士試験を受験するためには、児童福祉施設(保育所、乳児院等)で2年以上かつ2,880時間以上の実務経験が必要です。

保育とは全く関係のない学科でも、短期大学又は大学を卒業していれば、保育の実務経験が全くなくても保育士試験は受験できます。

短期大学や大学を卒業していても保育の実務経験がなければ、高卒の人と保育に関する知識量は同等なはずです。2年以上かつ2,880時間以上の実務経験は現実的に非常に厳しく、高卒の人は保育士になりたくても諦めてしまうこともあります。

保育士の人材不足が問題になっている中、できる限り保育士になりたいと思う人に門戸を開くべきです。高卒の人も実務経験なしで保育試験を受けられるようにしてくださいと要望しました

4.保育施設の種別変更に伴うルールの明確化をしてください。

保育施設には、認定こども園、認可保育所、小規模保育所、企業主導型保育所、認証保育所などの種別があり、これらの種別を変更して地域の保育需要に合わせて最適化していく施設も今後増えてくると思われます。

ですが、保育施設の種別変更を促進する自治体もあれば、全く取り扱わない自治体もあり、対応にばらつきが生じています。事業者が窓口で問い合わせた際も、国の制度でできないと断言する自治体もあり、他自治体の例などを示す形で交渉をするなどして事業者に負担がかかっています。

自治体に向けて、保育施設の種別変更についての取り扱いルールやFAQ等を通知してくださいと要望しました。

どのような状況下であれば種別変更が可能なのか明確化することで、各事業者も今後の事業運営に見通しが立てやすくなります。

<変更例>
地域型保育事業から認可保育・認定こども園へ
認可外から認可保育・認定こども園・地域型保育事業へ
企業主導型保育事業から認可保育・認定こども園・地域型保育事業へ

5.企業主導型保育事業に対する指導・監査の効率的な運用をしてください

企業主導型保育事業に対する指導・監査は、その実施機関である公益財団法人児童育成協会により、以下の指導・監査等が実施されることとなっています。
児童育成協会による指導・監査
専門的財務監査
巡回指導
専門的労務監査

企業主導型保育事業は認可外保育施設であるため、各自治体による認可外保育施設立入調査が実施されることとなっています。さらに自治体によっては、巡回指導も行っています。

上記全ての指導・監査の実施にあたって、企業主導型保育事業は、事前の書類提出や、監査資料の準備等に多くの時間を割いています。

児童育成協会による指導・監査で求められる内容と、認可外保育施設立入調査で求められる内容については、そのほとんどが重複しています。巡回指導についても、同様に目的や実施内容が重複しています。

概ね、公益財団法人児童育成協会が実施している指導・監査で、認可外保育施設立入調査の内容を網羅出来ていると考えられます。

公益財団法人児童育成協会が実施する指導・監査と、各自治体が実施する認可外保育施設立入調査の内容を精査いただき、重複する指導・監査内容については、一元化してくださいと要望しました。

 

6.企業主導型保育事業も地域型保育事業の連携施設として認めてください

企業主導型保育事業は、地域型保育事業の連携施設としては認められていません。

一方で、すべての地域型保育事業は令和7年3月31日までに連携施設を確保しなければならない状況です。地域により差はあるものの、特に小規模保育事業の連携施設の確保が困難なケースが存在しています。


企業主導型保育事業においては、3歳児~5歳児の受入に余裕があり、地域型保育事業の連携施設としての保育の受け皿と成り得る状況です。
※ 以下数値は、2021年11月12日 児童育成協会公表資料に基づき集計
https://www.kigyounaihoiku.jp/info/20211112-02

  〔保育施設在籍児童総数〕
乳児     : 9,814人(充足率 50.4%)
1・2歳児   :41,201人(充足率 81.6%)
3歳児      : 6,150人(充足率 64.7%)
4・5歳児   : 6,842人(充足率 52.1%)
3~5歳児総数 :12,992人(充足率 57.4%)

ついては、3歳児〜5歳児の受入が可能な企業主導型保育事業が、地域型保育事業の連携施設 として設定できるよう検討くださいと提言しました。

 

7.虐待を未然に防ぐために「虐待予防サービス制度」を創設してください

虐待事件を未然に防ぐために、全国のリスク家庭(*2)に支援を届けること(アウトリーチ)が必要ですが、ほとんど実現していません。

*2  リスク家庭:虐待のリスク要因(貧困、ひとり親、若年出産、子どもの障害、親の障害・疾病、乳幼児健康診査非受診等)がある家庭(厚生労働省「子ども虐待対応の手引き」参照)

その大きな理由が、虐待予防に関しては、補助事業しかなく、サービス制度が存在していないことが挙げられます。

補助事業の場合、手挙げした自治体でのみ実施されるため、手挙げしない自治体の住民には全く支援が届きません。また、原則単年度予算であるため、財源も不安定です。

一方、介護や障害福祉の分野では、介護保険制度や障害福祉サービス制度といった「サービス制度」が存在するため、全国一律でほぼ永続的なサービス提供が可能になっています。


虐待予防の分野においても、全国一律で、迅速に支援を届けられるように、新たにサービス制度(虐待予防サービス制度)を創設していただきたいと提言しました。

【虐待予防サービス制度】
国において、制度作り(事業者要件、リスク家庭の範囲等を規定)、サービス報酬(公定価格)の決定、予算確保等を行う。
地方自治体は、当制度に従って、事業者指定、リスク家庭ごとの支援プランの作成、事業者への報酬支払い等を行う。
事業者は、支援プランにそって、食料提供・学習支援を通じた見守り、保育所での定期預かり・相談支援等を行う。

 

その他、駒崎理事長の提言内容の詳細はこちらをご覧ください。


詳細は内閣府ホームページをご覧ください。
子ども・子育て会議: 子ども・子育て本部 – 内閣府(リンク
子ども・子育て会議(第59回)会議資料はこちら

【報告】内閣府「子ども・子育て会議(第58回)」提言のご紹介

10/11に開催された内閣府「子ども・子育て会議(第58回)」における、駒崎理事長の提言をご紹介いたします。


1.保育園を誰もが入れる「みんなの保育園」に
〜保護者の就労要件を撤廃し、就労の有無や形態に関わらず保育園を利用できるよう提言〜

ポスト待機児童時代に入り、全国の保育所等の定員充足率は年々低下しています。 ※定員充足率=利用児童数÷定員


引用:厚生労働省Press Release「保育所等関連状況取りまとめ(令和3年4月1日)」
https://www.mhlw.go.jp/content/11922000/000821949.pdf

これまではキャパがなく受け入れられなかった在宅子育て家庭やフリーランスワーカー、社会復帰したいけれど事情により就労先がなかなか見つからない家庭など、必要要件を満たしづらい家庭の子どもも保育所等で受け入れられるようになります。

在宅子育て世帯にも保育は必要です。
共働き世帯に比べ、周囲からのヘルプが得られにくく、子育てに対して強い不安や孤立感等を抱える母親が、24時間小さい子どもと一緒にいることで虐待のおそれやそのリスクを高めています。

最新の報告(※1)によると、1年間の子どもの虐待死事例(57人)では、「0歳」が 28 人(49.1%)で最も多く、「2歳以下」の割合が34 人(59.7%)と半数を超える状況です。未就園児率の高い低年齢で深刻な事例が多く発生しています。

※1 子ども虐待による死亡事例等の検証結果等について(第17次報告)
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000825392.pdf

一時預かりもありますが、導入に消極的な自治体があったり、補助金が十分ではないために事業が広がりづらく、供給量が不足しています。令和元年度の実績(※2)で見ると、未就園児1人当たりでは1年間に約3日の利用にとどまっています。利用したい時に利用できず、複数施設や他のサービスをかけもちで利用するなど、子どもの情緒や発達面を考えても、親子にとって望ましい姿とはいえない状況です。

※2  保育を取り巻く状況について(P31)
https://www.mhlw.go.jp/content/11907000/000784219.pdf

そこで、これまでのフルタイム・共働き世帯が利用する保育園という前提を見直し、保護者の就労形態や就労の有無に関わらず、誰もが利用できる「みんなの保育園」に変更すべきと考えます。

そのためには、現行の「保育の必要性の認定」の就労要件(最低条件)の撤廃が必要です。

全体で進めることが難しければ、例えば、0~2歳児を対象に規模の特性を生かしてきめ細かな保育や保護者対応を実施している小規模保育事業で試験的に行ってみて、効果を見てから全体に広げてほしいと提言しました。

特に地域型保育事業の充足率が低く空きが多いため、他施設より受け入れが可能です。

施設別の定員充足率  ※( )は前年度比

保育所等

幼稚園型認定こども園等

地域型保育事業

全体

平成31年

93.2

91.0

82.7

92.8

令和2年

92.6(▲0.6)

96.0(+5.0)

82.2(▲0.5)

92.2

令和3年

91.3(▲1.3)

93.4(▲2.6)

78.5(▲3.7)

90.9

 

よって、小規模保育事業から保護者の就労要件を外して「みんなの保育園」に向けた取り組みを試験的に始めさせてほしいと要望しました。

2.公定価格の「賃借料加算」「冷暖房費」について、算定方法の見直しを提言

賃借料加算や冷暖房費加算の「利用子ども数×単価」の算定方法では、子どもの入所率が下がると補助金収入が減ってしまいます。

建物賃借料や冷暖房費は毎月定額なのに、子どもの数により収入が変動してしまう現在の加算の仕組みでは、今後、保育園等の量的拡充や少子化等により、保育園等の入所率が下がると事業者負担が増し経営を圧迫していきます。

また、子ども1名欠員の場合の賃借料加算の影響は、100名定員の保育園では「1/100」減収ですが、19名定員の小規模保育事業では「1/19」減収になります。さらに、規模が小さければ小さいほど、1名あたりの単価が高いので、小規模保育事業を運営する事業者にとって非常に深刻な問題です。

利用子ども数に応じて施設・事業者側で調整ができない費用に関わる加算については、定員数で算定するように見直しを提言しました。

3.特区小規模保育を全国でできるように提言

堺市等で行われている3〜5歳の特区小規模保育ですが、当該自治体の方々にヒアリングを行うと、有用性を感じていらっしゃり、今後についても期待度が高いことが伺えます。

これから全国的に少子化が進む中、人口減少地帯では既存の認可保育園のインフラを維持できなくなる地域が多発してくると考えられます。そうなった際に、少人数の保育ニーズがある地域において、狭いスペースでも立ち上げられ、0~5歳児まで保育でき、かつ、家庭的保育・小規模保育事業者等の卒園児の受け皿となれる小規模保育所があれば、地域の保育インフラを維持していける可能性が見えてきます。

しかし、事業者に取り組む意思があっても、特区申請をする自治体は多くなく、取り組み自体が限定的になってしまっている現状は否めません。また、元の定義(0~2歳)と違うため、建築上の各都道府県の施設要件の緩和措置が受けられなくなることを理由に取り組み自体を断念せざる得ない状況もあります。

そこで、小規模保育事業の定義(0~2歳、19名)自体を現在の特区と同等にし(0~5歳、19名)、自治体が特区に申請しなくても、現在の要件を満たせば取り組める状況を作っていただけるよう提言しました。このことで、整備と運営のしやすさを維持したまま、きめ細かい小規模ならではの保育が継続発展されていきます。

下記の例示のように、国では「小規模認可保育所の緩和」とされています。「小規模認可保育所」の定義が(特区の現状に合わせて)変更されれば、施設整備や運用における小規模認可保育所の緩和措置が受けられるものと考えます。

例示

「日本再興戦略2016」平成28年6月2日閣議決定【抜粋】

3.国家戦略特区による大胆な規制改革

⑥小規模認可保育所に対するバリアフリー条例の適合免除の明確化・待機児童対策として小規模認可保育所の設置を促進するため、共同住宅の用途変更による小規模認可保育所の設置について、東京都が、バリアフリー法に基づく「東京都建築物バリアフリー条例第14 条」に係る具体的運用として、小規模認可保育所については、基準を満たさなくても円滑に利用できる旨を通知により明確化できるよう、国においても、小規模認可保育所について同法の建築物移動等円滑化基準への適合を義務付けていない旨を明確化した上で、子どもも含めた生活者の自立した生活の確保といった同法の趣旨を踏まえ、小規模認可保育所において利用する者が想定されない設備等に関する規制を求めないなど、合理的な運用を促すための所要の措置を速やかに講ずる。 

(上記の閣議決定を受けて)

東京都通知 「28 都市建企第252号 平成28年 6月 2日 高齢者、障害者等が利用しやすい建築物の整備に関する条例 第14条の適用に係る基本的な考え方について 」
【抜粋】「0歳から2歳までの低年齢児を対象」として緩和

4.保育の短時間認定・長時間認定の切り替えタイミングが、その家庭の実情に添えるよう、市区町村への通知を要望

就労等の要件で保育園を利用している家庭が、下の子どもの妊娠・出産のためにそのまま保育園を利用すると、産後休業→育児休業への切り替えタイミングで、保育の必要量が保育標準時間から短時間に切り替わります。


(例:東京都八王子市の保育の必要量に応じた区分
 https://kosodate.city.hachioji.tokyo.jp/material/files/group/3/R03_shiori.pdfより)

産後休業は「出産翌日から8週間」と法律で決められているため、多くの家庭で、産後8週間をすぎると保育短時間認定となり、利用時間が1日最大8時間(8~16時、9~17時等)となります。

しかしながら、産後8週間という期間は、早産児や多胎児、障害児を出産した家庭にとって、母体の回復も未然であり、生まれた子供の養育も不安定な状況です。早産児や多胎児、障害児は、出産後も数週間入院していることも多いためです。

その状況の中で、保育園の送迎が8-9時/16-17時台になると、配偶者が勤務時間上送迎対応できないことが多く、出産後の母親に送迎の負担が重くのしかかることは明白です。

弊会にて内閣府ご担当者に確認をしたところ、「自治体が保護者の状況を鑑みて保育の支給認定を決定する」との回答でした。実際に、沖縄県浦添市では「出産日から起算して5か月を経過する日の翌日が属する月の末日までの期間」は保育標準時間と認定するなど、柔軟に対応している自治体も存在します。しかし、多くの自治体では前述の通り「産前休業→育児休業」という一律切り替えになっています。

内閣府から自治体に対し、「保護者の状況を鑑みて柔軟に保育時間を認定すること」という通知を再度発出してもらえるよう要望しました。


詳細は内閣府ホームページをご覧ください。
子ども・子育て会議: 子ども・子育て本部 – 内閣府(リンク
子ども・子育て会議(第58回)会議資料はこちら

【報告】内閣府「子ども・子育て会議(第57回)」提言のご紹介

6/18に開催された内閣府「子ども・子育て会議(第57回)」における、駒崎理事長の提言をご紹介いたします。


1.「こども基金」の創設を提言

現在、政府内で「こども庁」創設に向けた議論が進められています。子どもを中心に据えた政策の推進のために、子ども関連政策を所管する関係府省庁の縦割りをなくすことは賛成です。

ただし、単に関係府省庁の人員と予算を1か所に集めるだけでは、有効な政策を打ち出すことは困難です。「こども庁」創設は、必要な人員と予算の投入とセットで行われる必要があります。 

そこで、「こども基金」の創設を提案しました。今回、「こども庁」を創設する目的は、子育て政策の強化ですから、組織再編とセットで、子育て分野に集中的に予算を投下し、実行力のある政策を打ち出せるように、新たな「こども基金」の創設を提言しました。

(注)政府は、平成21年度に創設した「子育て支援対策臨時特例交付金(都道府県が設置する「安心こども基金」)」により、待機児童解消のための保育所整備等を実施し、一定の効果を上げました。

2.地域の全ての子どもたちに開かれた保育園に

保育園は、利用児童のためだけではなく、地域の子育て家庭のための施設であるべきだと考えます。待機児童問題が解消しつつある今、地域に開かれた「あたらしい保育園」へ移行できるように制度改正等が必要です。

1)保育の必要性認定を廃止し「国民皆保育」を目指してください。

法令上、保育の必要性認定が受けられるのは、就労、妊娠・出産、保護者の疾病・障害等の事由により、家庭において必要な保育を受けることが困難な子どもに限定されています。

    ※子ども・子育て支援法第19条第1項第2号・第3号、子ども・子育て支援法施行規則第1条の5

しかし、保育を必要としているのは、必要性認定を受けられる家庭だけではありません。

週1〜週6まで、その家庭に応じたグラデーショナルな利用を可能とし、どのような家庭でも地域の保育園を利用できるように、法令改正をと要望しました。

2)3歳以上児の保育園の義務化を

保育所・幼稚園に通園することで、子ども達の虐待リスクを低下させたり、自閉症やADHD等の発達障害を早期に発見し、早期に支援に繋げていくことができます。

しかし、現状も保育園にも幼稚園にも行っていない3歳以上の子どもたちが5万人いることがわかります。

出典:厚生労働省「地域における保育所・保育士等の在り方に関する検討会(第1回)」資料3
https://www.mhlw.go.jp/content/11907000/000784219.pdf

保育園にも幼稚園にも行けず、家庭の経済力や保護者の意識によって左右されてしまう子ども達は、最も脆弱性 が高い層であると思います 

3歳以上児の義務教育化を実現し、こうした子ども達を早期に社会的支援の網の目で支えていくことが必要であると提言しました。 

3)保育園で福祉サービスをできるように通知を出してください。

保育園において、子ども食堂等の福祉サービスを行えれば、地域の子育て家庭の支援になります。

しかし、都内では、保育園で福祉サービスを実施することが認められていません。

法令で禁じられていない保育園での福祉サービスを、自治体の運用で認めないこととするのは適切ではありません。厚生労働省は国としては禁じていないというスタンスですが、地域の福祉に資するサービスであれば、積極的に保育園を活用できるよう、国から通知を発出していただきたいと要望しました。

3.「保育所等における要支援児童等対応推進事業」(保育ソーシャルワーク関連事業)について

当該事業は、地域の基幹保育所に「地域連携推進員」(保育士、社会福祉士、精神保健福祉士等)を配置し、他の保育所等への巡回支援、保護者への相談支援等を実施するものです。これにより、保育所等における要支援児童等の対応や関係機関との連携強化、運営の円滑化を図ることとしています。

 

1)対象児童数に応じた補助基準額にしてください。

現在、基幹保育所1か所あたり約460万円が補助されますが、基幹保育所数に対し、対象児童数が多いと赤字運営になります。

安定的に事業運営ができるように、対象児童の見込み数に応じた補助基準額としてもらえるよう要望しました。

2)自治体・地域連携推進員・保育園・関係機関間のクラウドでの情報共有を推進してください。

中野区では、クラウド活用やメールでの書類のやりとりは認められておらず、全て書留での発送業務が必要となっています。紙でのやりとりでは、紛失などによる情報漏えいリスクが高い上、費用・時間のロスが多く、事業をスムーズに実施することが困難です。

児童の情報をより安全に管理し、要支援家庭に対して、自治体・保育園・関係機関がそれぞれ迅速に必要な対応がとれるように、クラウドを活用した情報共有が進むよう、通知等により国から後押ししていただきたいと要望しました。

3)保育スタッフが要支援児童等の対応を適切に行うための研修や意見交換会の運営費を補助してください。

専門知識を有する地域連携推進員が、要支援児童それぞれの対応方法について保育スタッフに助言することは重要です。しかし、限られた数の地域連携推進員の助言だけでは、要支援児童等の適切な対応が十分に行えません。

保育所等で要支援児童等の対応をより適切にできるようになるためには、

 ①保育スタッフ自身がそのノウハウを身に付けるための研修機会の提供

 ②他の保育所等の保育スタッフとの意見交換会の実施(他園の事例から学ぶ)

が欠かせないと考えます。

そのための、保育スタッフの対応スキルを底上げするために必要な研修等の運営費の補助を要望しました

4.土曜減算ルールについて、土曜利用の実態や将来的な保育園のあり方にあわせた見直しを提言

小規模保育事業は定員19名以下のため、そもそも土曜保育を希望する利用者が少なく、認可保育所と比べて預かり人数が0人になり、減算対象となる確率が高めです。そのため、毎月給付費が安定せず、小規模保育の経営に大きな影響が発生しています。

直前キャンセルについては、減算しないということが国の通知にて示されておりますが、減算対象とする自治体があると聞いています。運用の徹底を図っていただくよう対応を要望しました。

また、多様な保育ニーズの受け皿として一時保育事業を行う保育園も徐々に増えてきています。一時保育の予約が入っている場合には、例え在園児の利用がなくても、開園して子どもを預かっているとみなし、減算対象としない運用を要望しました。

そして、今後の保育園のあり方として、地域に根差した子育て支援や保育の質向上を考えていく必要があると考えます。土曜日に園職員が地域向けの子育て支援活動や、園内の環境整備・研修等による保育の質向上を目的とした活動により開園した場合には、在園児の利用が0人であっても土曜減算の対象外とするように検討を要望しました。

5.特区小規模保育の全国化を提言

大阪府堺市等で行われている3〜5歳の特区小規模保育ですが、当該自治体の方々にヒアリングを行うと、有用性を感じていらっしゃり、今後についても期待度が高いことが伺えます。

堺市の小規模保育の入所率データを見ると、卒園後の入園先として3~5歳の特区小規模保育をもつ小規模保育の入所率が105.3%と、非常に高い結果であることがわかります。

<堺市の入所率(令和2年4月)>  
 特区小規模を持たない小規模保育  84・4%
 特区小規模を持つ小規模保育    105・3%

 

今後、全国的に少子化が進む中、人口減少地帯では既存の認可保育園のインフラを維持できなくなる地域が多発してくると考えられます。そうなった際に、0〜2歳の小規模認可保育園と連携する形で、3〜5歳の小規模認可園という選択肢があることで、保育インフラを維持していける可能性が見えてきます。

よって、3〜5歳の小規模認可保育園を国家戦略特区だけでなく、全国でできるようにすることを検討するよう要望しました。

6.企業主導型保育事業について

1)企業主導型にも障害児加算の適用を

認可保育事業である地域型保育事業(居宅訪問型保育事業を除く)において障害児を受け入れる場合、障害児2人につき、保育士1人を配置するために必要な経費「障害児保育加算」が補助されます。

しかし、認可外保育事業である企業主導型保育事業では、この「障害児保育加算」の補助がありません。

企業主導型保育事業所にも地域型保育事業所と同様に、障害児の申し込みは一定数あります。また、入園時は障害児としての入園でなくても、保育園に通っている間に園児が障害児となる場合もあり、企業主導型保育事業所で障害児を預かるケースが発生することはあり得ます。

企業主導型保育事業所であっても、障害児が安心して通える環境を整備できるように、障害児保育加算を適用するよう要望しました。

2)土曜減算についてルールの見直しを提言

企業主導型には、土曜日利用が1日でも無い場合、2カ月は猶予、3カ月目に週5運営の園として減算されるルールがあります。

例えば、保護者が毎週ではなく月2日の土曜日利用を希望した場合、週5運営の園としての給付しかない中で運用するか、土曜休園を前提とした運営にする必要があり、保護者ニーズに合わせられません。

また、認可保育事業で認められている、直前キャンセル=減算なしとする運用もありません。

土曜保育を必要とする保護者のニーズに柔軟に対応できるようなルールの見直しを提言しました。

3)定員(減少)変更を認めるよう要望

企業主導型保育事業においては、一度整備した定員を減らすことができないという指導になっています。認可保育所や認定こども園では、定員変更は自治体が認めれば可能になっております。

急激な少子化により、定員を減少させざる得ない企業主導型保育事業が今後増加することが予想されます。定員の硬直化により、運営費単価が不利な運営を強いられることで経営が悪化するなどの弊害が起きることになります。

認定こども園などは、認可定員とは別に利用定員という概念を用いて、自在に定員を伸縮させることが可能です。

現在のルールを改め、企業主導型でも、定員(減少)変更が認められる、または利用定員の設定を認めるよう要望しました。

7.公費補助により整備した施設の場合の、撤退時の返還義務について、内装費を対象外にするよう要望

補助金の交付を受けて保育所等を整備したが、今後、預かり人数の減少などでやむを得ず撤退の判断を行う保育所等が増えることが予想されます

保育所等整備交付要綱の条件に、「事業により取得し、又は効用の増加した不動産及びその従物並びに事業により取得し、又は効用の増加した価格が単価30万円以上の機械及び器具及びその他財産については、適化法施行令第14条第1項第2号の規定により厚生労働大臣が別に定める期間を経過するまで市町村長の承認を受けないでこの補助金の目的に反して使用し、譲渡し、交換し、貸し付け、担保に供し、取り壊し又は廃棄してはならない。」とあります。

条件に反した場合には、補助金の全部または一部を返還しなければならなりませんが、建物内部の壁面や床、天井、家具、室内装飾や仕上げ等の内装費については、対象から除外するよう要望しました

8.企業主導型ベビーシッター利用者支援事業の事務手続き(事業者・利用者双方)負担軽減のため、制度公表のスケジュール見直し、および電子化を提言

内閣府が実施する企業主導型ベビーシッター利用者支援事業は、以下のようなスキームとなります。

加入企業(親の勤め先)が親に紙の割引券を配布
 ↓
一回の利用ごとに割引券を親が氏名等を記入し、千切ってベビーシッター事業者に提出
 ↓
受け取った事業者は、一枚一枚その記載内容を目で確認しながらまとめ、社判を押し、期日までに全国保育サービス協会に送付
 ↓
全国保育サービス協会よりベビーシッター会社に振り込まれる

という流れです。割引券が紙であることから、管理方法が非常に煩雑となり、ベビーシッター事業者にとっては手作業に大変な工数をとられています。

また、年度始めの時期に当該年度の制度が決定されていない状況なため、毎年4-6月の利用分に関しては遡及割引対応(一度全額をベビーシッター会社に払った後、遅れて割引券を提出し、事業者から利用者へ返金する)が発生しており、利用者・事業者とも相当な負担を背負っています。

一方で、企業主導型ベビーシッター利用者支援事業と同様のサービスである民間の福利厚生では、今年度以降相次いでクーポンの電子化が予定されています。(えらべるくらぶ(2021年夏~)・ベネフィットワン(2022年度~)等)

内閣府のベビーシッター利用者支援事業においても、割引券の電子化を推進し、利用者・事業者双方の負担を軽減すること、また、遡及対応が発生しないよう、スケジュールの見直しを強く要望しました


詳細は内閣府ホームページをご覧ください。
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【報告】内閣府「子ども・子育て会議(第56回)」提言のご紹介

1/20に開催された内閣府「子ども・子育て会議(第56回)」における、小規模保育などに関する駒崎理事長の提言をご紹介いたします。

1.シッターによる届出義務化が「ザル状態」になっていることについて ―マッチング型事業者の届出未確認事案を踏まえて―

1月15日のビジネスインサイダー誌の報道によると、「ベビーシッターの大手マッチングプラットフォームで、4年半以上にわたり、児童福祉法上シッター個人に義務付けられている、都道府県等への届出を確認しないまま、届出対象年齢である7歳未満のシッティングをマッチングしていたことが明らかになった」とのことです。

児童福祉法の改正によって、2016年4月から、1日に1人以上児童を預かるベビーシッター事業者も、児童福祉法上の認可外保育施設として届出の対象になりました。今回の事案は、その法令を違反していたということになります。そうした状況のまま、同社は内閣府のシッター補助金の対象となっていました。

同誌は「そもそも補助金事業に対して、個人のベビーシッターは申請ができず、マッチング型事業者が認定をされているのは、事業者が審査等を経て安全性を担保しているとみなされているからではなかったのか。(中略)『認定の一時停止や取り消しができないのであれば、補助金事業自体が砂上の楼閣だったということではないか」「今回のキッズラインの届出未確認問題により、シッターによる届出の義務化は、ザル状態であったことが明るみに出たと言える」と指摘しています。

こうした状態について、民間から内閣府に対応策を求めました。

2.企業主導型の新規園募集停止を提案

待機児童解消が一定程度効果を発揮し、このペースで待機児童が解消された場合、3年で待機児童は0になる推計となっています。


作成:認定NPO法人フローレンス

待機児童解消を目的として設計された企業主導型保育は、その使命を終えたと考えることもできます。だとしたら新規園募集は止め、既存の園の質の向上等にリソースを振り向けていくべきではないかと考えます。

一方で、一時保育・病児保育・ショートステイ・産後ケア・多胎児支援等、地域の子育て資源はいまだに不足していることは明らかです。

認可園や地域型保育と違って、13の子ども子育て支援事業については、自治体が手を挙げなければ実施することができず、自治体は予算制約や優先順位などから、積極的に整備を行ってきたとは言い難い状況です。

企業主導型の新規園募集を停止することで生まれる予算的な余白を用いて、これまで整備が進みにくかった地域の子育て支援を行うことはできないでしょうか。その際は現状の13事業のように自治体のコミットに左右されてしまう仕組みではなく、企業主導型の良い点であった、自治体を介さず、事業者の希望で事業を始められる仕組みを踏襲することで、スピード感を持って整備を進めることが叶う構想もあわせて提案いたしました。

3.5歳まで預かれる特区小規模保育を、特区だけでなく全国でできるよう要望

堺市等で行われている3〜5歳の特区小規模保育について、当該自治体の方々にヒアリングを行うと、有用性を感じていらっしゃり、今後についても期待度が高いことが伺えます。

今後、全国的に少子化が進む中、人口減少地帯では既存の認可保育園のインフラを維持できなくなる地域が多発してくると考えられます。そうなった際に、0〜2歳の小規模認可保育園と連携する形で、3〜5歳の小規模認可園という選択肢があることで、保育インフラを維持していける可能性が見えてきます。

3〜5歳の小規模認可保育園を国家戦略特区だけでなく、全国でできるようにすることを検討して頂きたいです。

4.「在宅勤務の場合、自宅保育をしてほしい」という自治体の独自要請の取り下げを要望

都内の一部の区において、保護者へ、保育園の登園自粛要請と受け取れる通達が出されているケースが見受けられます。要請内容は「家で保育できる人だけ」とありますが、これにより育児休暇中の家庭や在宅勤務可能な家庭が保育園に預けられない事例が実際に出ています。

子どもを見ながらの在宅勤務は不可能ですさらに毎日通っている園からの「協力のお願い」は容易に「ほぼ強制」に転嫁し得ます。

保育園で働く職員の感染を防ぐことももちろん大切です。しかし、それでもなお登園自粛要請には慎重になるべきです。保護者を追い込み、精神的に不安定にさせれば、そのリスクは子どもに向かいます。

既に発出されているであろうFAQ等とあわせて、自治体独自の登園自粛を再検討するよう、厚生労働省より通知等を出して頂けるよう要望いたしました。

5.保育所運営にかかわる本部所属の職員の人件費も、拠点区分の経費として認められるよう要望

江東区の認可保育所の指導検査にて、拠点に属さない職員(本部所属)の給与等を人件費として計上したことについて、あくまでも拠点区分外の経費とする改善依頼(口頭)がありました。

指導検査基準では、委託費の人件費の使徒範囲について「保育所に属する職員の給与、賃金等保育所運営における職員の処遇に必要な一切の経費に支出されるもの」とされています。

保育所の委託費の請求業務や取引先への支払業務、園児が使うシステムの保守等に従事する本部職員の処遇に関わる経費についても、「保育所運営における職員の処遇に必要な一切の経費に支出されるもの」に該当します。

本来は拠点内で実施すべき業務を多数の拠点を運営する強みから集中管理しているにすぎず、その所属の有無に関わらず拠点運営の経費として計上されるのが適切と考えます。

もし、このような業務に従事する職員の人件費を拠点区分外の経費とすると、不当に人件費比率が低くなってしまい、実態と乖離してしまいます。

多様な運営形態があることを鑑み、保育所運営にかかわる本部所属の職員の人件費を拠点区分の経費として認めていただけるよう、指導監査実施要綱の改定を要望いたしました。

6.保育士の働き方改革において、副業・兼業として複数の認可保育施設での勤務が可能になるよう、各自治体へ通知の発出を依頼

令和2年7月時点で保育士の全国の有効求人倍率は 2.29 倍、全職種は 1.05 倍。全職種平均の倍以上となっているなど、多くの施設で保育の担い手の確保がますます困難に。

原因の一つに、保育士の働き方の画一的な運用があろうかと思います。多くの自治体において指導監査での縛りが厳しく、解釈も定まらない状況があります。

複数の認可保育施設に所属することができるか、という問題があります。例えば、保育園Aの常勤職員(月160時間勤務)が、労働時間が被らない就業時間に保育園Bで短時間勤務(月12時間勤務)する場合に、保育園Aは常勤、保育園Bでは非常勤職員として月次の各自治体への公定価格職員配置報告へ記載し、所属させることに関して、いまだ多くの自治体では許されていません。

町田市では、「複数の施設での勤務は可能です。ただし、その場合、当該職員を法人では常勤職員として採用したとしても、法令上の施設ごとの職員配置の考え方では、どちらの園でも非常勤職員扱いとなります」と示されいます。

各自治体における指導では、同法人内でも、他法人でも、複数所属を認められないと指導しているケースが多いようです。

昨今の働き方改革において、「副業・兼業」なども積極的に取り組むよういわれておりますが、保育士においても可能になってしかるべきと考えます。副業・兼業を行う理由は、収入を増やしたい、1つの仕事だけでは生活ができない、自分が活躍できる場を広げる等様々ですが、保育士の過度な長時間労働などを招かないよう留意しつつ、保育現場においても、その希望に応じて複数施設で副業・兼業が行える環境を整備すべきと考えます。

法的には問題がないと思われますので、上記のような保育士の働き方について自治体に通知を出していただけるよう提案いたしました。

7.東京都都市部における公定価格の「賃借料加算」について、金額の算定基準の見直しを要望

東京都都市部において、公定価格で定められている「賃借料加算」が金額的に実態と大きく乖離している実態があります。これは、東京都の財源で5年の期限付きで加算の上乗せを行っていることからも明らかです。

自治体の財源を使わなくてはならない現状のため、「5年」という時限付きでしか上乗せされません。そのため、5年を超えると法人が持ち出すなどの方策を取らなければ賃料を賄えないケースが続出しています。

5年後に賃料が安くなるという社会情勢でもないことから、このことが理由で保育所整備が進まない地域もあり、整備されたとしても非常に不安定な見通しでの運営を余儀なくされています。

保育所の運営は5年では終わりません。改修型であっても最低10年は運営するよう自治体からは約束を求められています。東京都の公定価格上の賃借料加算の金額設定に無理があるためこのような状況になっていると思われるため、算定基準の見直しを求めました。

8.コロナ禍における処遇改善Ⅱキャリアアップ研修の実施体制・要件について、抜本的な見直しを要望

保育士は、処遇改善Ⅱの適用を受けるため、キャリアアップ研修を受けることが必要です。しかし、コロナ禍の影響で特に2020年度は各実施主体とも「ソーシャルディスタンス」への配慮により、受講定員を減らしてきており、希望しても受講がかなわないことが増えています。

「受けたくても受けられない」という状況に鑑み、現在の実施体制や要件の抜本的な変革とともに、受講機会・受講主体を増やすこと、そして処遇改善Ⅱの 講座受講要件のさらなる延長・緩和を要望いたしました。

9.子ども子育て新制度施行後、増大した事務負担への対応に係る提言

子ども子育て新制度施行後、制度の安定と引き換えに認可申請をはじめ、記録、保存書類の作成、会計処理財務諸表への対応、第三者評価、請求業務、各種契約業務、監査対応など事務処理が明らかに増大し、施設長や事務職員への負担は増すばかりで、各施設で負担する会計業務などの外部委託や、労務管理、規定類の整備などにかかる費用なども看過できない状態となってきています。

事務量増加に対する正規職員雇用補助や専門家に委託できる補助の創設をするか、それができないならば、事務量を減らすための対行政書類の抜本的な簡素化、巡回指導や監査の改善などを希望いたしました。

詳細は内閣府ホームページをご覧ください。

子ども・子育て会議: 子ども・子育て本部 – 内閣府(リンク

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